再生医療(細胞療法)ってどんな治療?
『細胞療法』とは、自身や他の動物の細胞を体外で増殖・活性化させ、その細胞を身体の中に戻し自己治癒力を高め、怪我や病気を治療したり、がん細胞を攻撃させ、再発・転移・進行等を抑える治療法です。
当院でおこなえる細胞治療は 幹細胞療法(かんさいぼうりょうほう)・樹状細胞細胞療法(じゅじょうさいぼうりょうほう)・活性リンパ球療法(かっせいりんぱきゅうりょうほう)の3種類の療法です。
幹細胞療法について
【幹細胞(かんさいぼう)】とは、動物の自己治癒能力を担っている細胞のひとつで、日常的に怪我や病気を自己修復しています。
この細胞には「あらゆる性質の細胞に変化することができる」「組織を修復する為の物質を出すことができる」「炎症・損傷の起きている部位に集まる」という性質があります。炎症や損傷などの治療が必要な部位に自主的に集まり、治療を促進してくれるのです。このような特技から「小さなお医者さん」と呼ばれることもあります。
◇幹細胞◇
◇幹細胞療法◇
【幹細胞療法(かんさいぼうりょうほう)】とは幹細胞を体外で増やし、体内へ戻すことで自己治癒能力を高め、怪我や病気を治療することを目的としています。また、副作用も少なく安全な治療です。
◇主な対象疾患◇
●椎間板ヘルニア・脊髄梗塞・脳梗塞・認知症 などの神経疾患
●乾性角結膜炎・炎症性腸炎・溶血性貧血 などの自己免疫疾患
●骨折癒合不全・関節炎・靱帯損傷 などの整形外科疾患
●角膜潰瘍・進行性胃網膜萎縮症 などの眼科疾患
●その他(腎臓疾患・肝臓疾患 など)
※これらの疾患に対して、症状の緩和・患部の修復を促す治療であって、リハビリやその他薬剤などの治療と
併用していくものです。幹細胞療法だけで完全な治癒を保証したものではありません。
◇治療の流れ◇
①麻酔下でビー玉大の患者の脂肪を採取
※全身麻酔での処置となりますので、状況により、当日~数日は入院が必要となります。
※麻酔をかけられない場合や十分な脂肪を確保できない場合は、同種動物の脂肪を使用する場合もあります。
②採取した細胞から幹細胞を2週間かけて抽出・培養する
※細胞の増え方によっては2週間以上かかる時もあります。
③増やした幹細胞を点滴で患者の体内に戻す
※投与(点滴)にはおおよそ30分~1時間かかります。
※基本的には日帰りの処置ですが、状況によっては1日~数日入院をお勧めすることもあります。
④残した幹細胞を1週間かけてさらに培養する
⑤ ④で再培養した幹細胞を点滴で患者の体内に戻す
⑥ ④~⑤の行程を再度行う
基本的に採取した脂肪細胞から培養できるのは3回までとなりますが(培養をくり返すたびに細胞の機能が低下するため)、培養した細胞を一部凍結保存し、3回以降も治療を受けられる場合もあります。
樹状細胞療法について
血液中には樹状細胞やTリンパ球という【免疫細胞】があります。これらの免疫細胞は がん細胞や体内に侵入したウイルス・細菌を攻撃し、死滅させる力を持っています。
このような免疫細胞の攻撃力を強めたりすることで、がんの再発・転移・進行を抑える治療方法が【樹状細胞療法(じゅじょうさいぼうりょうほう)】です。
免疫細胞の一種の【樹状細胞(じゅじょうさいぼう)】は がん細胞を攻撃する兵隊(Tリンパ球)の教育係を担っています。
樹状細胞にすりつぶした がん細胞を取り込ませ、がんの目印をつけます。目印の付いた樹状細胞は、兵隊(Tリンパ球)に敵(がん細胞)を教えます。これにより、Tリンパ球は がん細胞を認識し、特異的に攻撃をすることができるのです。
①患者から麻酔科で がん細胞と血液を10~15ml採取
②採取した血液から樹状細胞とリンパ球を回収
③回収した樹状細胞とリンパ球に薬剤を加え、細胞の活性化・増殖をさせる
④樹状細胞にすりつぶした がん細胞を加え認識させる
⑤がん細胞を認識した樹状細胞を洗浄し、がん原発部位やリンパ節に注射で患者の体内に戻す
⑥活性化し増殖したリンパ球を洗浄し、点滴で患者の体内に戻す
◇免疫細胞◇
◇樹状細胞◇
◇樹状細胞◇
◇治療の流れ◇